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2012年02月09日

ソ連より愛をこめて


ついにっ パンチうさぎ 


ロシアで発禁処分を喰らった「チャイルド44」から始まるシリーズが 
完結編を迎える

第二次世界大戦の英雄にして
ソヴィエト秘密警察のエリートであるレオ・デミドフ
長きにわたる孤独で厳しい道程の最終章である

ソ連より愛をこめて
エージェント6」 上・下   トム・ロブ・スミス著   新潮文庫


チャイルド44」では
ソヴィエト秘密警察の恐怖が描かれている
独裁主義的共産主義国家では一般市民が隣人を密告する
国への忠誠を示すためというのが主な動機である

とはいえ
物質主義的欺瞞民主国家では わずかなお金のために
人を殺したり魂を売り飛ばしたりする輩が大勢いるので
どっちが怖いのか分からなくなったりしますけどね


グラーグ57
フルシチョフvsスターリン・・・正邪逆転 血で血を購う粛清の嵐の中
レオ・デミドフは愛する家族を守るため
極寒のツンドラを 動乱のブダペストを 全力で走りぬける
シリーズ中最もアクション色の強い作品かもです


そして 本作は・・・

友好親善使節として渡米した妻が 
なぜか冷たい死体となって帰国を果たす 
非人道的な国家体制に傅くよりも家族のために生きる道を選んだレオは 
失意の底に突き落とされる

折りしも冷戦のさなか
アメリカではレッドパージと人種差別が激しさを極めている


ところで・・・
思想の違いや移民を糾弾するのは
ある種の人々にとって非常に甘い誘惑である
自国に内在する問題点を
やすやすと外的要因にすり替えることが出来る
内省や洞察の努力は不必要となる

内省と洞察なくして真に成熟した社会は成立しないにもかかわらず


さてさて
妻の死の原因を探る手段をことごとく失ったレオ
次第に無力感に苛まれ
再びKGBの職に付きアフガニスタンの首都に赴任する

ソヴィエトの侵攻が深まるアフガニスタンでは共産政権が樹立
反共イスラム勢力との憎しみと虐殺の連鎖が激化してゆく
実り豊かな美しい村が一瞬にして焼き払われる
もちろん村人たちも

登場したとたんに 
空爆で死んでしまう一人の少年が心に残る
すでに吟遊詩人としての才能の萌芽を顕わしていたが
ある少女を守るために命を散らせてしまった

生きながらえれば 優れた詩人か作家になった筈なのに

・・・
現実世界でも どれだけ多くの才能が 可能性が
戦禍の犠牲となったことだろう

作家とは 人類全体の知的財産である
政治や宗教・国家権力などの下賤なものに
踏みつけられてはならない



さてさて
ただ一人生き残った少女に出逢ったレオ・デミドフはついに
大きな決断を下す・・・


本編も過酷な逃亡劇ありアクションあり
軽い気持ちで読み始めても充分楽しめますが
なんとなくロシア文学を読んでいるような気がしてきます


と言っても 作者のトム・ロブ・スミスはロシア人ではありません


なに人かとゆーと・・・ 人差し指


超 ・  ・   イケメン人~ ラブ  
 









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Posted by サンダーのママ at 23:53│Comments(2)読書日記
この記事へのコメント
未だ、お会いできませんね。

待ってます。
Posted by しょうざんしょうざん at 2012年02月10日 09:05
☀ しょうざんさ~ん(●^o^●)

ごぶさたしてま~す
いつ伺おうか考えていたところです

只今 歯医者さんにて口の中を大工事中・・・で引きこもりデス(@_@。
もうちょっと安定したら伺いますね(^u^)

しょうざんさんのカップで飲むと コーヒーが凄く美味しくなります
コーヒーカップ もう一つ欲しいです
Posted by サンダーのママサンダーのママ at 2012年02月10日 10:31
 
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    コメント(2)