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10キロ超えスコティッシュのサンダーとあわてんぼママです

2012年03月19日

TaDaSi Ⅱ

やがてまた別の春が来て みんな中学生になった 花 

当時のわたしは身長:144cm 体重:28kg うさぎ汗

どことなくクロマニョン人を想わせる風貌のタダシ君も似たようなもので
小柄なまま 顕著な成長ぶりは見られず
彼は「特殊学級」に入った

相変わらず タダシ君を見かけることは滅多になかった


TaDaSi Ⅱ


ある日 

久方ぶりに出会ったタダシ君は コテンパンに叩きのめされていた


TaDaSi Ⅱ


叩きのめしたのは
学年主任で柔道部の顧問でもあるフクオカという教諭である
殴り倒しておいてから何度も足蹴にしていた

さながら ゴリラがリスザルをいたぶるかの如く

おそらくフクオカは
それまでタダシ君と相対したことがなかったのであろう
それをたまたま通りすがりに
指導しなければならない何事かがあり 
注意したところに予想外の失敬な口答えが返って来たため逆上した
そんな事情だったのだろう


場所は「特殊学級」の外の廊下
授業と授業の合間で
別教室に移動する「普通クラス」の生徒たちも大勢いた
とくに大柄な男子の姿も多く見られたが

すでに学級新聞に怪しげな小説を連載し始めたマトゥーバも
「俺は公家言葉を話す」と公言したセキグチ氏も
早くも黒帯に手の届きそうなヤマナカ君も

ただ沈黙のまま事態を眺めるばかり
誰も止めに入ることはなかった

(良いほうに考えれば 衆人環視の中であったことが
フクオカの頭を冷やす役割を果たしたのかも知れないけれど)


TaDaSi Ⅱ


いまだに あの時のことを思い出すと
腹の中に熱い石が詰まったような 烈しい怒りが湧いてくる


あの時 自分が大人だったら どんなに良かったことだろう


今更考えても遅い 
わたしだってタダシ君の為になることは何もしなかった・・・



そしてまた 別の思い

わたしたちは体制に守られていたのだ

フクオカが「普通クラス」の生徒に対して
あのような暴挙に出ることはあり得ないと 
誰もが分かっていた
豪放磊落・話の分かる頼もしい人物であり 生徒の人気も高かった

あの出来事は 
タダシ君の身にだけ起こるべくして起こったのだ

なぜならタダシ君は 
教育の埒外にいる野性児であり
義務教育課程という初歩的体制の「周辺的存在」だったからだ

そして なによりも ひ弱なチビッ子だった



あの出来事が その後話題になったことはない
みんな通り過ぎたことである
気になるのは フクオカはあの教室の担任ではなかったことだ

そもそも「特殊学級」の担任はあの時 
どこで何をしていたんだろう?


TaDaSi Ⅱ


何年も後になって 町なかで偶然フクオカに再会した

意外と若い奥さんと いかにも健全そうな小僧たちを引き連れて
「お~元気でやっているかぁ?」と
朗らかに・快活に声をかけて来たので
大人になったわたしとしては ソレナリに挨拶をしたけれど

フクオカが「中学時代の恩師」に昇進することは決してない
わたしにとってフクオカは
いつまでたっても「タダシ君を叩きのめした男」でしかない

フクオカよ!永遠に! というワケである



フクオカも今では年金で悠々自適の生活を送っていることだろう


そして 

タダシ君はどうしているだろう?


タダシ君の人生には


一度でもチャンスが与えられただろうか?











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